本日のお品書き
21:45頃? NHK ニュースウオッチ9 ←おしまい
22:45頃? テレ朝 明子夏休み
23:00 739 プロ野球ニュース
23:25 日テレ NEWS ZERO
23:30 NHK きょうのニュース&スポーツ
23:58 テレ東 メガスポ
00:05 フジ すぽると
00:40頃 TBS 筑紫哲也NEWS23
01:00 739 プロ野球ニュース(再)

契約交渉を行う中日本社。
奥に中日側の代表。手前には中村ノリ
昨年は代理人をたてたノリだが、今年は本人がきた。

「いくらほしいのかをいってみてくれ」
「どういうことですか?」
球団側からの言葉にノリがとまどう。
「そのままの意味だよ。今年の自分を評価してみて、いくらほしい。それを聞いている」
ノリはさらにとまどう。
正直にいうとノリは球団側が示した年俸がいくらであれ、それを飲むつもりであった。
それが、予想外の展開である。
しかし、去年の年末、今年のはじめの状況を考えてノリは決めた。
「6,000万でどうですか?」
球団側が黙る。
(しもーた、高すぎたか)
ノリが焦った瞬間。
「わかった、1億2,000万だそう。それでどうかね?」
「え?」
見ると球団側の代表たちがみなにこやかな顔をしている。
「我々は決めていたのだよ。君が提示した金額の倍は払おうとね」
「1億でもですか?」
「1億でもだ」
「仮に10億とかいってもですか?」
「そうだ」
ノリは混乱する。
確かに今年はがんばったが、全盛期にくらべると物足りない成績である。
それにノリはすべてに嫌われ、なんとか中日に拾ってもらった立場だ。
そこまでしてもらうのがわからない。
だからノリは正直に聞いた。
「すいません。今年は自分なりにがんばりました。でもなんでそこまでしてもらえるのでしょうか? 自分的には今年みなさんに拾ってもらって、それで野球ができた身ですから」
「……なるほど。たしかに君は我々に感謝をする立場なのだろう。ただそれは我々も同じだ。中村紀洋くん」
「?」
「悲願だ。まさに悲願だった53年ぶりの日本一。君のおかげといっては語弊があるかもしれないが、君がいなかったら日本一にはなれなかっただろう。だから我々は感謝をしている。君に、中村紀洋に。それに最大限応えようとした結果がこれだったが、不満だったかな」
「いえ……。なんというか……その、自分は、はじめは期待されていなかったもので、ただ一生懸命やってきただけで、ただそれだけなので」
ノリは恥ずかしくなって、下を向く。
「ありがとう。そして、来年も期待しているよ」
「はい」

「3割30本、100打点はいけるだろうね」
「がんばります」
「ははは、がんばるじゃ困るよ。監督がね、来年は最低限コレくらいやってくれると保証してくれたよ」
「えっ、監督がですか」
「そうだ」
ノリの目に光ものが浮かぶ。
落合監督を頼むよ。今度は連覇だ。いいね」
「わかりました。中村紀洋、みなさんに、監督に拾ってもらった恩は一生忘れません」
「はは。そんなもの忘れてもらってかまわんよ」
「でも……」
「所詮は巡り合わせだよ。恩は忘れてもらってもかまわない。ただ、ほしいのは勝利だ」
「……わかりました。必ず連覇を成し遂げます。そのために死力を尽くします」
「たのむよ。中村くん」
「はい」

中村紀洋
波瀾万丈の野球人生であったが、中日にきてからは中日一筋でその野球人生を終える。
落合監督を10回胴上げして、最強の監督にしたるわ」
その言葉どおり、中日入団後、10年間現役生活を続け、史上初となる10連続日本一に輝く。